研究プロジェクト

宇宙微粒子採取ロケットプロジェクト

高度100kmの宇宙に到達する小型観測ロケットを開発し,宇宙由来の微粒子採取を試みるプロジェクトです.特に,流星群がやってくる時期には大量の宇宙塵が地球に降り注ぐため,流星群がやってくる時期に小型ロケットの打ち上げを行い,採取を行うことを予定しています.そのためには,流星群の時期に合わせた柔軟なロケットの打ち上げ実験の実施が求められています.
そこで,本研究では,安全性が高く,低コストで,即時発射性にも優れた高度100kmに到達可能なハイブリッドロケットを大学主体で開発し,採集装置を宇宙空間に到達させる予定です.また,柔軟な打ち上げウィンドを確保することから,従来の陸上から打ち上げる方式ではなく,洋上からのロケット打上実験や空中発射による打ち上げの検討も行っています.現在は,洋上発射実験に必要な基礎データを取得する目的で,小型ロケットを用いた洋上発射実験を実施しています.

詳細はコチラ(http://www.perc.it-chiba.ac.jp/projects/sounding-rocket

御宿ロケット実験場

超小型探査機用キックモータ開発

当研究室では,超小型探査機用のキックモータとしてガスハイブリッドモータと固体モータの2種類を開発しています.全く新しい独自方式のハイブリッドモータとしてGAP (Glycidyl Azide Polymer) / N2O(亜酸化窒素)の組み合わせのモータの研究開発を進めています.GAPは,エネルギー密度が高く,自己発熱分解特性を有するポリマーです.GAPを使うことで,超小型探査機用のキックモータの要求である,「小型軽量」・「着実な着火」・「短時間で大きなΔV」を達成することができると期待されています.さらに,ハイブリッドロケットの利点として,酸化剤供給を停止することによって自動的に消炎でき,かつ後の再着火も可能という特徴を備えています.加えて特筆すべき点として,GAPは火薬ではないため,安全面,保管・輸出面で有利であることが挙げられます.一方,酸化剤として用いる亜酸化窒素は液体酸素のような冷却が不要で,衛星搭載する上で非常に扱いやすいという利点を有しています.酸化剤の亜酸化窒素を余らせておけば,酸化剤を噴射するコールドガスジェットしても利用可能になります.既に,本研究室ではGAP/N2Oガスハイブリッドロケットの地上燃焼試験に成功しており,現在フライトモータの設計・燃焼実験を進めています.これまでの設計検討において,6Uサイズの超小型探査機のうち3U分がGAP/N2Oガスハイブリッドモータとした場合に最大となるΔVは1020.7km/sとなることが明らかとなりました.一方,50kgマイクロサットの超小型探査機のうち10kg分がGAP/N2Oガスハイブリッドモータとした場合に最大となるΔVは531.4m/sとなります.いずれも超小型探査機の軌道制御には十分な増速量であり,例えば,月周回探査機の軌道高度の変更であったり,GTO(静止遷移軌道)からならば月へのフライバイ,さらには地球重力圏を脱出して深宇宙に到達することも可能です.また,月周回有人拠点GatewayやGateway補給用HTV-Xからならば火星遷移軌道投入も期待できる推進系です.

ダイレクトインジェクション型ガスハイブリッドロケットフライトモータの燃焼実験

ガスハイブリッドよりさらに小型のキックモータとして,GAPベースの固体ロケットモータも開発を進めています.固体ロケットは,シンプル・小型な機構で一度切りしか使えないが,強力な増速を得られるのが特徴です.エネルギー密度の高いGAPを用いることで,1Uサイズのモータであっても3Uキューブサットサイズの探査機に対して軌道マヌーバに十分な増速量381m/sを獲得することが可能です.超小型サイズのため,複数個搭載しフェイズに分けて使用する(軌道投入,軌道離脱,着陸)など,工夫次第で様々なミッションの要求へ対応可能であると考えています.

GAPベースの固体ロケットモータによる燃焼実験

千葉工業大学工学部
機械電子創成工学科

宇宙輸送工学研究室
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